お土産 佐藤 月見
白馬村の北東端、標高約760mの山腹に位置する青鬼(あおに)集落。「日本の棚田百選」に選ばれている田んぼや伝統的な茅葺き屋根(現在は鉄板被覆)の主屋が今なお残るこの土地で、白馬紫米は低農薬にこだわり栽培されています。
人が触れる前の水と空気を持つ好環境を活かすため、他の米と交配せずに栽培できる地理的に独立した青鬼地区で、白馬村の特産品が作られるようになりました。
ちなみに「青鬼」という地名の由来として、昔、隣の鬼無里村で村人を苦しめていた鬼が追い出され、ほら穴をくぐり抜けるときに魂が入れ替わり、この集落ではいい鬼「善鬼(ぜんき)さん」として崇められていた、という昔話があります。
紫米は、おはぎの起源といわれ、古くから祝いの米として大事に使われてきました。中国では薬膳料理にも使われ、楊貴妃も美容食として愛用したと伝えられています。
古代米は一般に生命力が強く、無農薬でも丈夫に育ち、干ばつや冷害などにも強い性質がありますが、白米より収量が少なく、明治以降はほとんど生産されなくなってしまいました。
しかし、近年になって古代米は白米に比べてビタミン・ミネラル・食物繊維を多く含んでいることが明らかになり、健康食として話題を集めています。
ビタミンB1・B2・ナイアシン・鉄・カルシウム・マグネシウムなどの栄養成分が、白米に比べ豊富に含まれています。
色素のアントシアニンはポリフェノールの一種で、「抗酸化作用」が高く期待できるといわれています。紫外線などの有害な光によるダメージから自らの体を守るという働きがあり、血管を保護、動脈硬化を予防する働きや、老化防止・発ガン抑制にも効果があるといわれます。
青鬼地区では2種類の紫米を栽培しており「南京香稲」(なんきんこうとう)と「朝紫」(あさむらさき)と呼ばれています。
南京香稲は、長粒米で成熟すると脱粒するもち米です。
刈取り時期が非常に難しく、稲も背が高く茎や葉も黒くなり、ちょっとした風でも倒れやすく希少価値の高い品種です。昔からの原種米でモチモチ感があり、香りが強いです。
「南京香稲」を改良されてできた品種が「朝紫」です。
日本の食文化の原点である古代米は稲の原種であり、野生稲の特徴を受け継いでいるお米です。噛むほどに味わい深く、腹もちもよい魔法の古代米。どうぞ食卓でお試しください。